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映画の特別演出ってなに?
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先週、韓国映画「トンマッコルへようこそ」のジャパンプレミアに行く機会があった。
報道陣や映画関係者がたくさん押しかける特別試写会で、監督のパク・クァンヒョン(これが俳優と見まごうハンサムで、場内から歓声があがるほど)も来日して舞台あいさつ。スペシャルゲストと称してなぜか山口もえさんもステージに登場したのには会場が沸いた。
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映画そのものは特筆すべきこともないのだが、お決まりの記者会見・フォトセッションに続いて、山口もえプロデュースの特別演出付の試写をするというので、何をやるんだかと注目していたら、これがまったく驚いた。

映画の途中、巨大イノシシが突撃してくるこの映画の中でも象徴的なシーンがある。イノシシのスローモーションと「もののけ姫」も担当した久石譲の素晴らしい音楽が織りなすなかなかいいシーンなのだが、なんとスクリーンの周囲に仕込まれたカラフルなバリライトが突進するイノシシに合わせて激しく点滅しだしたのだ。会場は一瞬にして安手のディスコに変身!

蝶が舞う幻想的なシーンでは、スクリーンの上から無数の蝶のかたちの紙吹雪が降りそそぐ。白い雪景色のなかの白い蝶の舞いというスクリーンの前に、なんでカラフルな蝶の紙吹雪なのか?

エンディングのスタッフロールに到っては、なんとスクリーン両側からシャボン玉マシンが大量のシャボン玉を吹き出し、画面も見えないほど。

「映画をもっと楽しんで頂くために、私なりに工夫してみました」みたいなことを山口もえさんは言っていたが、いくら表現のテンションが高い韓国映画とはいっても、これじゃあ映画が台無し。映画を冒涜しているとさえ言えるぞ。

そう言えば、舞台挨拶で監督が「特別な演出によって私の映画が地味に見えてしまわないかと不安です」とにこにこしながらも何度も発言していたことを、後になって思い出した。
監督はどんな思いで、日本の「特別演出」を受け入れ、スクリーンをながめていたのだろうか。

ところが、日本のマスコミ(とくにスポーツ紙)は、この演出を絶賛。どこかの新聞は「監督もこの演出に感激」などと書いていたが、記者会見での発言をどう解釈すればこんな記事になるのか。

最近、この手の「特別演出」はちょっとした流行りのようだ。なんとか映画を当てたいという配給会社の気持ちはわかるが、監督とよく相談してからやってね。

映画「トンマッコルへようこそ」は10/28から封切り。
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by shonanvil | 2006-10-19 07:17
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