軍都横須賀の歴史の裏史でもあるカフェー街。
市内に数カ所あったらしいが、いまも当時のにぎわいを彷彿させる建物が残る一帯が、市内某所にある。
カフェーが隆盛を極めたのは、昭和20年代から、売防法が成立した30年代はじめまで。
明治時代から続く日本海軍に続いて、終戦後の米駐留軍、そして自衛隊と「軍人さんの街」であった横須賀を支えていた産業のひとつでもあった。
海に近いこの町には、カフェー建築の特徴である独特の意匠を凝らした建物がまだ現役で多数残っている。
現役と言っても、いまではアパートや旅館、普通の民家などに変身しているが、玄関前のホール(入口が曲線を描いて入り込んでいる)や、
艶めかしいタイル貼り
一階上に張り出した小屋根
ベランダの手すりや
ドアの造作
などに、当時の「ハイカラ」で「隠微」なカフェーの面影をとどめている。
一瞬、昭和の時代にタイムスリップしたような光景。
モダンなマンション群のすぐそばに、こんな艶やかな街並みがある。
これも、横須賀の魅力のひとつ。