三浦半島には、なかなか味わい深い漁村が多い。
東京からわずか1時間余りで、隔絶した時間の流れの中に身を置けるのがいい。
北から久留和、秋谷、佐島、長井と南に下ってくるにしたがって、ローカル色がどんどん濃くなっていく。

ここは三浦半島からさらに小さくこぶ状に突き出した小半島の先にある漆山漁港。沿岸漁業と観光釣り船の基地となっている港だ。
のんびり穏やかな漁港が、急にざわつく時間がある。
朝船出した釣り船が一斉に港に戻ってくる時間。
待ちかまえたようにたくさんのとんびが水揚げされる魚を狙って、空を旋回し始める。
ヒュルルルという鳴き声と、釣り船のエンジン音。釣果を自慢しあう釣り人達の声・・・・。鳥も人も、海の豊かさに笑みがあふれる時間。
自然が相手ならではのよろこびがあふれたこんな時間に遭遇するのは、楽しいもんだ。