福島第一原発から20キロ圏は、ぐるっと円弧を描いて警戒区域に指定され、一般人の侵入が禁止されている。
20キロ圏内につながる道はどこもバリケードが置かれて車の進入はできない。無人のゲートも多いので、歩いて入ろうと思えばできないこともなさそうだが、無断侵入は10万円の罰金。
そんな中、Jビレッジそばの小道のゲートには、二十歳前後と思われる女性のガードマンが立ち、我々の車を制止した。
「あのう、すみませんが、ここから先は汚染区域ですので、引き返していただけますか」
やさしく丁寧な口調と「汚染区域」という強烈な単語との大きなギャップに驚く。
アルバイトみたいだけど、これから出産を控える若い女性が、放射線量の高いこの場所に何時間も立つ仕事を続けていていいのだろうか、と心配になる。
このあたりでは、作業服姿の男性しか見かけなかったので、余計に気になった。
Jビレッジの一部は自衛隊の前線基地となっており、戦場でしか目にすることのないような特殊車両がずらりと並ぶ、物々しい光景となっていた。
(その後、自衛隊は徐々に撤退をしており、新聞報道では8月中旬で東北3県に残留する自衛隊員は100名程度とか)