<< 福建土楼「うるるんるん滞在記」... 客家円楼(はっかえんろう) >>
福建土楼「うるるんるん滞在記」その2  猿肉
福建土楼「うるるんるん滞在記」その1はこちら

a0003150_8552566.jpg

客家円楼「永啓楼」でのある夜。

夕食が終わって、私が泊めてもらった家のご主人江文賢さんとあれこれ筆談していると、こんなことを言い出した。

壁に掛けられた日めくりの干支を持ってきて、申(サル)の絵を指さし、
「明日朝6時に、大門に来てごらん。私がこいつをさばくのを見ることができるよ」
ご主人はナイフで首をはねる仕草をして見せるのだ。
「えっ。サル? まさか。」
『猿?』と漢字を書いてみせると、「うんうん、それそれ」と笑って、肉を切り刻む仕草を繰り返す。
a0003150_858413.jpg

「これうまいよ」と江さんが勧めてくれた酒。下戸な私はおつきあいできなかったが、この発言、本気なのか、それともこの酒のせいか?

映画「インディージョーンズ」では猿の脳みそが食卓に出されるシーンがあり、満漢全席の中にも同じメニューが出るという話を聞いたことがある。犬でも猫でも食べる中国だ(最近禁止されたが)。猿を食用にする習慣が残っていても不思議はないが、まさか、目の前で見ることができるとは。

期待?と不安で一夜を明かし、朝5時半起床で楼の大門に下りてみた。

そこには大きな木の台が出され、江さんが大きな包丁をふるって、真っ赤な肉片が次々と並べられていた。
a0003150_8591456.jpg

近寄って台を見ると、どうも普段見慣れた豚肉のように見える。猿にしては肉片が大きすぎる。鼻を押さえてブーブー言わせてみると「そうだ」という返事。『猪(中国語で豚)?』と紙片に書いて確認しても「そうだ」。
どうやら、江さんの仕事は肉屋さんで、朝早く店を出して楼内の人々に売り、その後横に用意された大ザルで肉を担いで、近郊の村に行商に出かけるのをなりわいとしているようなのだ。だから江家の食卓には豚肉や豚モツが多かったのだ。
a0003150_8595095.jpg

「猿は?」
私は、昨日ノートの切れ端に書いた字を見せた。
「今日はない」
「朝いいものを見せるって言ったじゃない」
「私はこのあと仕事に出かけるけど、今朝のお粥を食べてごらん。うまい肉が入ってるよ」
そう言いながら、私の書いた『猿』の文字をトントンとたたくのだ。

ええっ?? 猿肉をさばくのは見られなかったが、猿肉入りのお粥をごちそうしてくれるということだったのか!
行商に出る江さんを見送って楼内に戻ると、奥さんが食事ができたと手招きしている。
a0003150_904123.jpg

湯気を立ててうまそうにできあがったお粥には、小さな肉片がいくつも浮いていた。
a0003150_91567.jpg

期待?と不安でひとくち粥をすすると、これがほんわり塩味にいい出汁がでた、なんともうまい粥なのだ。入っている肉片は薄くスライスされて見た目は豚肉と変わらない。
思い切ってひと切れを口に運ぶ。
うーん、いつもの豚肉に比べて、羊肉のように少しプンと匂いがするが、噛んだ触感は豚肉そのものだ。噛みしめて出てくる肉汁は、すこし獣脂のアクを感じるが、これはこれで結構うまい。なによりも粥に溶け込んで、混沌としたカオスのような味わいを作り出しているスープは絶品! 結局3杯もおかわりしてしまった。
a0003150_914739.jpg
うまい猿肉粥?を作ってくれた江さんの奥さん

これが私の猿肉初体験だったのか、あるいは江さんにからかわれただけだったのか、どうもよくわからない。
後で調べると、中国語で猿は「猴」と書くらしいので、そもそもミス・コミュニケーションだったということもあり得る。

ま、ここが筆談コミュニケーションのおもしろいところで、分かり合えたと思っても、決定的な誤解があったりというのは、これまでの旅でも山ほど体験していること。
今回も、私は、猿肉を食べるという貴重な体験をしたんだ、したんだ!
そう考えることにしようと思う。

そういえば、食後に身体がなんだかポカポカし始め、その日一日、ハイな状態が続いたように思う。買い物でもずいぶんオマケしてもらったし、天気予報もはずれて晴れてくれた。これもきっと猿肉のおかげだ。
と、なんでもいい風に受け止めることのできる私であった。


[客家円楼スナップ]

a0003150_923858.jpg
秋は日本と同じく柿のシーズン。どこの楼でも干し柿作りの最盛期

a0003150_93645.jpg
こんな風景、日本じゃ見かけなくなりました。おしっこの勢いの良さが、子供が健全に育っている証拠だ。

a0003150_934194.jpg
鶏の下ごしらえをする主婦。向こうにはまもなく同じ運命をたどることになる、元気のいいのがいたりして。生と死のこの距離の近さが、いまの日本ではひたすら隠されてしまっている。

a0003150_94792.jpg
ゴミはここでもちゃんと分別収集されてます。

a0003150_944683.jpg
つながれている犬は一匹もいません。自由にあちこちを歩き回り、勝手に寝たり勝手にえさをあさったり・・・。ここではペットではなく、ひとと動物が共生している。
[PR]
by shonanvil | 2008-10-13 08:04 | じゃらん日記NEW
<< 福建土楼「うるるんるん滞在記」... 客家円楼(はっかえんろう) >>