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10/13 悪評高き(?)映画「トゥルーへの手紙」は、本当はどうなの?
打ち合わせの谷間にぽかっと時間が空いた。
これ幸いと、渋谷「シネマライズ」で上映中のブルース・ウェバー監督「トゥルーへの手紙」を見に行く。
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写真家ブルース・ウェバーが9.11でN.Yにいる愛犬トゥルーの安否を心配したことを端緒に、愛犬への手紙として愛と平和を訴えるドキュメンタリーを作った、というのがパンフレットの宣伝文句だ。

ところが、あちこちから、あまりいい評判が聞こえてこない。
写真展とのセット入場券を買ってしまったもんだから、ムダにするのもなんだな、という程度の期待度で入場。

入れ替え時にすれ違った人たちから「おう、よく寝たぜ」とか「ひどくない?」とかいう声が聞こえた。ありゃりゃ、評判以上の出来の悪さかな。

で、80分の映画を見終わった。
結論から言えば、僕的には結構楽しめた映画だった。

確かにブルース・ウェバーらしい切れのいい映像はあまりないし、愛犬への傾倒のしすぎが目立つし、平和へのメッセージも少し深みがない。(なんだ、いいとこないじゃん!)
僕も、前半はすこしつらい思いでスクリーンを見ていた。
このあたりから、席を立つひとまで出て来ちゃった。

しかし、途中からあることに気が付いた。
あんまり字幕を追ってはいけないんだ、と。

この映画は、最初から最後まで、ずーっと字幕が出まくりの映画だ。
誰かのしゃべりの翻訳があり、ブルース・ウェバーの書いた手紙の訳があり・・・。
めまぐるしく変わる字幕を読み、映像を見、また字幕、そして映像・・。
結構疲れて、映像そのものを楽しむ余裕をなくしていた。

字幕を読む必要のないアメリカ人は、この映画をどんな風に見ているのだろうか?
そう思って、字幕を見ないようにした。
耳から入る英語の語りを背景に、犬たちが波に戯れるスローモーションに見入り、全編を流れる40~50年代のジャズ・ボーカルのあまりの美しさに身をゆだねていると、彼がこの映画で伝えたいことが、ふわーっと伝わってきた。
とたんにこの映画が、平和やパートナーアニマルを愛しましょうというプロパガンダ映画ではなく、もっと人間的な心の解放へのバイブレーションであることがわかってきた。
字幕で読むと、音声よりもメッセージ性やこむずかしい理屈が実際以上に強調されてしまうということなんだな。

とくに20数曲に及ぶオールドジャズの選曲は秀逸だ。
9.11以降、自信を失いあらぬ方向に走り始めたアメリカではなく、アメリカが一番アメリカらしかった時代。艶やかで、情緒があって、包容力があって、豊かにスイングしていくボーカル。そこにブルース・ウェバーはいまを乗り越えるパワーを感じているのだろうか。

ケチを付けようとすればいくらでも付けようのある映画だが、ひとりの写真家が犬を通じて歴史のターニングポイントをながめた私小説のような映画、と思うと、ブルース・ウェバーの世界に遊ぶことができて、なんとも楽しい80分となった。

「えっ? テロ撲滅? 平和? うーん、そんなこと言ってたような気もするけど、ドリス・デイの唄、わかりやすくていいよね。わんこもかわいかったしぃ。やっぱ、愛って大事でしょう」
こんなミーハーな見方もけっこういいみたい。そんな映画でした。
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by shonanvil | 2005-10-14 00:23 | じゃらん日記NEW
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