<< ガイアシンフォニー No.7 広島へ >>
「なぜ尾崎豊なのか」
a0003150_4123434.jpg


友人の映像ジャーナリスト、瀬川正仁氏が、またまたすごい本を書いた。

瀬川さんの単行本としては、これで5冊目。
ビルマの少数民族やタイををさまよう日本人老人、定時制高校生など、世界を覆うアメリカ型グローバリズムに押しやられた辺境や、アメリカ型の価値観からはじき出されて居場所を失った人々を追いかけ、そこから透かして見える社会のひずみや人々の苦悩を鋭く私たちに見せてきた。

で、今回は尾崎豊。
「なぜ尾崎豊なのか。明日が見えない今日をいきるために」と題して、先月発売になった。

月末にアマゾンから届き、早速ページをめくる。
18年前に亡くなった若者をいまなぜ取り上げるのか。その理由そのものが、そのまま本書のテーマとも言える。

「津波のように、すべてを巻き込んで上昇してゆく高波に、誰もが乗り遅れまいと先を競う中、尾崎はその波間に漂いながら、水中めがねを顔に当て、じっと海の底を見つめていた。尾崎の視線の先には、バブル経済で浮かれる日本のもうひとつの姿があった。
 高く盛り上がった波がいつかは必ず砕け散るように、一九九一年、日本の経済は突然クラッシュした。尾崎がこの世を去る前年のことだ。」

うむー、なんという小気味いいほどの比喩。
友人ながら嫉妬を覚えるほどの手練れの名文。

いつもながら、粘り腰の取材と地を這うような低い目線からの分析が、グイグイと瀬川ワールドに引っ張り込む。

友人だから、のヨイショは抜きで、なかなかに読み応えのある本。
寝苦しい夜にそっとページを開けてみてください。
[PR]
by shonanvil | 2010-08-19 04:12 | じゃらん日記NEW
<< ガイアシンフォニー No.7 広島へ >>